紙ソムリエの読み物

「フライヤー」「リーフレット」「パンフレット」違いと使い分け

「フライヤー」「リーフレット」「パンフレット」。具体的にどんな違いがあるか説明できますか?
これらは特定の印刷物を指す言葉としては曖昧なので、ご発注の際に戸惑う方がいるかもしれません。
この記事では、「フライヤー」「リーフレット」「パンフレット」について、違いと使い分けをまとめました。目的に適した効果的な印刷物の製作にお役立てください!

1. フライヤーとは

1-1 フライヤーの一般的な仕様について

フライヤーとはどのような印刷物を指すのでしょうか。
フライヤーという言葉で調べてみると、

・1枚刷りで折りたたんでいないものを指す場合が多い

出典:一般財団法人経済調査会『積算資料印刷料金2021年版』,2021年,p25

 ・小さな紙に印刷した広告宣伝物。商業印刷物の代表的なもの。通常,1枚ものか二つ折りしたもので,新聞に折り込んだり街頭で大量に配る。

出典:一般社団法人日本印刷産業連合会「印刷用語集」
https://www.jfpi.or.jp/webyogo/index.php?term=1498 
※「ちらし / handbill;dodger;flyer」として、「チラシ」と同一視して解説


とあるように、出典によって微妙に認識が異なります。

 「フライヤー」の語源は、戦時中に飛行機やヘリコプターからチラシがばら撒かれたことから、不特定多数の人に向け撒くチラシをフライヤーと呼ぶようになったと言われています。

 仕上りが1枚の用紙で折り加工のない印刷物を「フライヤー」と呼ぶことが多いので、ここでもそのように定義して進めたいと思います。

フライヤーは手渡ししたり店舗に置いておいたり、お客様が手に取り持ち帰ってもらうことを想定しています。そのため、仕上がりがB4サイズ以下の場合が一般的です
また、片手で持って見られるように厚めの紙で作られることが多いです。

「1枚の用紙で折り加工のない印刷物」と聞くと「チラシ」や「ビラ」を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。

 【チラシとは?】

フライヤーが特定のターゲット層に手に取ってもらうことが目的であるのに対し、チラシは「散らす」が語源で、不特定多数の方に撒き散らし目に留めるのを目的としています。江戸時代には既にチラシと呼ばれ、主に市場や歓楽街などで配られていたそうです。大量に配布するため、コストの低い薄めの紙がよく使われます。

 【ビラとは?】

一方でビラは、「片・枚(いずれも読みは“ひら”)」や、擬態語の「びらびら」からきているとされています。江戸時代から寄席の宣伝に「ビラ」が使われており、政治的な宣伝や人目につく場所へ貼ってある印刷物を指すことが多いです。他にも英語で「張り紙」を「bill」と言うので、由来に関係しているかもしれません。単色刷りや2色刷りで、薄手の紙が使われます。

1-2 フライヤーの特徴と用例

フライヤーの特徴と代表的な用例は、下記の通りです。

【特徴】
加工にかかる時間が短いため、情報の速報性に優れている
情報量は最大で表裏の2面で、他の印刷物に比べると少ない
用紙1枚のため、持ち運びに優れている 

【用例】
情報の速報性に優れているので、新商品や新サービスのお知らせなどに適しています。
映画館、美術館、博物館の案内
イベントの告知
劇場、コンサートの案内
新しく開店したショップの宣伝

フライヤー イメージ画像

1-3 二次元コードで情報に立体感をプラス


先ほどお伝えしたように、フライヤーはB4以下のサイズが一般的で、載せられる情報に限りがあります。
そこでオススメなのが二次元コードです!

二次元コードとは、WebサイトのURL等の情報を縦方向と横方向に記録したコードです。読み取り可能な機器を用いてコードを読むことで、公式ホームページや特設サイトなどの遷移先を表示することできます。

QRコードは、代表的な二次元コードです。
QRコードは㈱デンソーウェーブの登録商標です。

 フライヤー単体での情報発信ではなく、二次元コードを紙面に印刷することで、より詳細な情報へと誘引することができます。
シンプルなデザインがお好みの方、誌面に情報が収まりきらなくて困っている方、公式ホームページやキャンペーンサイトへの誘導をご検討の方に是非オススメです。 

2.リーフレットとは

2-1 リーフレットの一般的な仕様について

一枚刷りで折り加工のある印刷物をリーフレットと呼ぶことが多いです。
フライヤーと違い、折り加工が施されていることがほとんどです。

折り加工とは、紙を半分に折ったりZ形やジャバラ形に折ったりと、1枚の紙を用途に合わせて様々な形に変えていくことを指します。

情報量はそのままでコンパクトになり、閲覧しやすくなります。紙や印刷サイズにより、対応できる折り加工が異なりますので、折り方の希望がある際は、印刷会社に相談してみてください。

リーフレットもフライヤーと同様に、仕上りB4サイズ以下が一般的です。

B4サイズの2つ折りリーフレットの場合、開くとB3サイズになるので、仕上りサイズはフライヤーと同じでも、掲載できる情報量は2倍となります!

2-2 リーフレットの特徴と用例

リーフレットの特徴と代表的な用例は、下記の通りです。

【特徴】
折りの数を増やすことにより、掲載できる情報量を増やせる
・折りの数や形によって、使用する場面ごとに最適なサイズにできる 

【用例】
商業施設のフロアマップ
遊園地や動物園などの園マップ
商品の取り扱い説明書
新しいサービスのお知らせと内容の説明書 

2-3 リーフレットの形あれこれ

リーフレットには、さまざまな折り加工がこらされます。
紙を長辺で半分に折る「二つ折り」 や、3つに分割して折る「巻き三つ折り」、谷折りと山折りを交互に繰り返してアコーディオンのように折りたたむ「
蛇腹(ジャバラ)折り」などなど。
折る目的は、1枚のフライヤーでは収まりきらない情報を網羅して見やすく整理するためだったり、掲載する場所や封筒のサイズに合わせるためだったり、展開したときにパッと目を引くようなデザインの仕掛けで折られている場合もあります。

折り加工についてはこちらの記事で詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。

リーフレット イメージ画像

3.パンフレットとは

3-1 パンフレットの一般的な仕様について

パンフレットとは2枚以上の用紙で構成され、針金で綴じられた印刷物を指すのが一般的です。

ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)では,“表紙を除き5ページ以上48ページ以下の印刷された非定期刊行物”と定義されています。 

3-2 パンフレットの特徴と用例

パンフレットの特徴と代表的な用例は、下記の通りです。

【特徴】
掲載できる情報量が多い
複数の情報を1つの印刷物にまとめることができる
基本的には4の倍数でページ数を調整する(後ほど詳しく説明します!)

【用例】
前述のフライヤー、リーフレットよりも商品やサービスの詳細な情報を掲載することができます。
会社案内、学校案内
商品のカタログ
映画や舞台のプログラム
社内報、季刊誌などの短い読み物 

3-3 パンフレット製作時のポイント

データ作成をする方は、ページ数が4の倍数になるように意識してデータを作ると良いでしょう。
4の倍数以下のページ調整をしたい場合に仕様上枚数の変更はできませんが、メモページなどにして活用することができます。

【4の倍数でページ数を調整する理由】
折った用紙を重ねて針金で閉じた際に折りの部分を中心として、左右の2ページとその表裏2ページで計4ページとなります。つまり、4ページがパンフレット(ならびに冊子)を構する最小単位となるのです。
そうした事情もあって、余ったページをメモとして活用しているパンフレットもあります。
製本の方法によっては、4の倍数でなくても問題ありません。

4.印刷物の名称いろいろ ポスター・ブックレット

ポスターとブックレットについてそれぞれがどのような印刷物であるか、1~3でご紹介した印刷物との違いも合わせて説明いたします。

4-1 ポスター

ポスターとは、仕上り1枚の用紙で折加工なしで、サイズがA3以上である印刷物を指すのが一般的です。 
主に壁や柱などに掲示することを想定しているため、距離があっても認識できるよう、A3以上で制作します。

上記よりポスターは、サイズの大きいフライヤーであることがわかります。しかし、使われる場面や使われ方などにより呼び方は変わり、きちんと定義されていないのが実情です。
サイズがA3以上に大きく、折り加工のない1枚物だったら、ポスターと呼んでしまって良いと思います。

 4-2 ブックレット

ブックレットとは、

少ページを針金綴じした小冊子。共通表紙が一般的で、パンフレットより本の形式に近い。

出典:一般社団法人日本印刷産業連合会「印刷用語集」
https://www.jfpi.or.jp/webyogo/index.php?term=2046

と示されているように、2枚以上の用紙で構成された綴じ加工のある印刷物を指すのが一般的です。

形としてはパンフレットとほぼ同じですが、広告や案内といった軽いイメージのパンフレットに対し、ブックレットはボリュームの多い読み物という性質が強くなります。 

まとめ.最も訴求効果の高い媒体を選択しよう

「フライヤー」「リーフレット」「パンフレット」などの呼び方は定義が曖昧です。
お互いがどの印刷物を指しているかを認識していないとトラブルの原因となるため、発注の際はアイテム名称よりも詳しい仕様が必要です。
具体的な仕様を伝えることで正しく情報が伝達され、印刷物をスムーズに発注できます。
見積もり依頼についてご紹介した記事もありますので、ぜひご覧くださいませ。


印刷会社に「こういった訴求内容の一枚もので~」とざっくりとした要望を伝えれば、フライヤーにするかポスターにするかパンフレットにするか、仕様から提案してもらえます。
当サイト紙ソムリエでも承っておりますので、不安のある方はぜひとも質問フォームよりご相談ください。

 

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