紙ソムリエの読み物

【大ロット・大量印刷】輪転印刷とは?枚葉印刷との違いと活用方法!

「大ロット印刷に向いている印刷方式は?」
「20万部の折り込みチラシを早く安く作りたい」
「大量に印刷したいけど、納品日まで時間がない…」

そんな時は、ハイスピードでコスパが売りの輪転印刷におまかせ!

輪転印刷は、名前こそ聞きなれませんが、新聞や雑誌など身の回りのさまざまな印刷物に活用される印刷方式です。
この記事では、輪転印刷の仕組みから仕上がりの特徴、メリット・デメリットまで分かりやすくご説明します。

1.枚葉印刷と輪転印刷の違い

1-1 枚葉印刷とは

規格サイズにカットされた紙に一枚ずつ印刷する方法です。用紙を「1枚、2枚、3枚…」と数えることから、枚葉印刷とよばれています。
さまざまな用紙に対応していて後加工もしやすいため、あらゆる印刷物に使用されています。
数百部から数千部程度のロットの印刷に適しており、高品質な印刷物を作成できるのが大きな魅力です。

〈おすすめ印刷物〉
・パンフレット
・ポスター
・カタログ

1-2 輪転印刷とは

ロール状になった紙(巻き取り紙)を、高速で巻き取りながらインキを転写する印刷方法です。
新聞輪転機の場合、早いものだと毎時20万部も印刷できるほどスピードに特化しており、印刷から折り加工まで一気に行うことができます。
とにかく大ロットの印刷物におすすめで、安く早く印刷物を仕上げたいときにぴったりの印刷方法です。

〈おすすめ印刷物〉
・新聞
・折込チラシ
・総合カタログ

1-3 つまり、違いは…?

枚葉印刷と輪転印刷について簡単に説明しましたが、この2つの大きな違いは印刷用紙の違いです。

ロール状の用紙を高速で巻き取りながら印刷する輪転印刷はスピードに特化しており、短納期で大ロットの印刷物向きなのに対し、あらかじめ規程サイズにカットされた用紙に一枚ずつ印刷する枚葉印刷は高品質で加工もしやすく、あらゆる印刷物に対応可能です。

用紙以外に、インキの乾燥方法にも違いがあります。
輪転印刷では、輪転機内の乾燥部で高温の熱によってインキを乾燥させるのに対し、枚葉印刷は自然乾燥です。急激にインキを乾燥させる輪転印刷では、紙が縮みやすいというデメリットがあるため、大ロットの印刷物であっても、用途によっては枚葉印刷を選んだ方が良い場合があります。

2.輪転印刷の仕組みと仕上がりの特徴

2-1 輪転印刷の仕組み

輪転印刷機は、給紙部→印刷部→乾燥部→冷却部→排紙部→折機部・シーター部の構造となっています。給紙・印刷から折り加工まで一貫して処理できる大きな設備のため、郊外にある広い工場に設置されることが多いです。

どのように印刷物が完成していくのか、各工程の役割をみていきましょう。

・給紙部
円筒型の版胴と圧胴の間にロール状の用紙をセット

・印刷部
高速回転させることで、版についたインキを紙に転写

・乾燥部
上下についた高温のドライヤー(200℃前後)で急速乾燥

・冷却部
中に冷水が循環しているローラーによって、高温になった紙を急速冷却

・排紙部
印刷が終わった紙が排紙され、折り加工を行う「折機部」と折らずに使用する「シーター部」へ分かれる

・折機部
印刷された紙をカットして折り加工を施す

・シーター部
印刷された紙をカットして積み上げる

2-2 仕上がりの特徴

・四方にフチができる
輪転印刷機では紙の端まで印刷がされないため、白フチができます。
白フチには、用紙を固定する鍵穴や色調整のためのダイヤマークが残ります。
このフチは化粧断ちでなくすこともできますが、輪転印刷はデザインよりコストやスピードを重視する印刷物が多いので、印刷面の周囲に白フチの残る「袋断裁」を施されることが多いです。

・規格サイズより一回り大きくなる(輪転サイズ)
枚葉印刷ではあらかじめ塗り足しのある大きいサイズのデータを作成・印刷し、印刷後に仕上がりサイズに断裁します。
しかし袋断裁が施される輪転印刷は、白フチの分だけ規格サイズより仕上がりが一回り大きくなるのです。
もちろん規格サイズに断裁することも可能ですが、コストがかかります。
袋断裁とフチなしの化粧断ちでは、作成するデータのサイズが違うので注意しましょう。

2-3 新聞印刷

輪転印刷で作られる印刷物といえば、なんと言っても新聞が代表的です。
新聞は「新聞オフセット輪転機」で印刷され、その高さはおよそ20m!
新聞は日々の出来事をできるだけ早く、確実な情報として届ける必要があるため、このように巨大なシステムになっています。

片面だけカラー印刷できる「サテライト機」と、両面にカラー印刷できる「4Hi(フォーハイ)機」があり、現在は4Hi機が主流です。

新聞インキ(浸透乾燥型インキ)は乾きが早いのが特徴で、スピーディーな印刷を可能としています。

浸透乾燥型インキ
吸水性のある紙にインキ中の油分が浸透することによって固着乾燥するインキ。乾燥は早いが表面強度が弱く、色移りを起こす可能性がある。

3.輪転印刷のメリット・デメリット

3-1 メリット

・大量印刷に適している
ロール状になった紙を高速で巻き取りながら版のインキを転写する輪転印刷は、短時間で大量に印刷することができます

・短時間
枚葉印刷機は自然乾燥で、折り加工も別です。一方で、輪転印刷機は印刷工程が早いのはもちろん、その後も高熱でインキを強制乾燥させ、そのままインラインで断裁から折り加工まで一気に行えるので短時間で印刷物が出来上がります。前述した新聞のようにスピード感が求められる印刷物に最適です。

・薄い紙にも印刷できる
印刷機に一枚ずつ紙を通す枚葉印刷は薄紙への印刷を苦手としていますが、輪転印刷機は通紙性が高く、薄紙への印刷に適しています
コストを抑えたい印刷物の他にも、ページ数が多くてかさばってしまう総合カタログにも向いています。

3-2 デメリット

・少部数の場合は割高になる
版の作成費や色が安定するまでの時間がかかるなどの理由から、少部数の場合は割高になってしまいます。

・使用できる用紙の種類が限られる
枚葉印刷に比べると使用できる用紙の種類や厚さが限られており、輪転印刷では主に上質紙・コート紙・マットコート紙が使用されます。

・枚葉印刷に比べると品質が劣る
高速で印刷し熱風で急速に乾燥させるため、用紙の収縮が起きたりインキの表面が焼けたりします。近年の印刷技術の向上により輪転印刷の品質も上がってきてはいますが、枚葉印刷に比べると品質が劣るとされています。

・乾燥工程でのトラブル
高温の熱風で急速に乾燥させるので、用紙が縮んだり波うってしまったり、ブロッキングやブリスターが発生することがあります

ブロッキング
インクの乾燥が不十分で、紙同士がくっついたり裏移りすること。

ブリスター
高温乾燥で紙の水分が蒸発する際に、インキによって水分が逃げきらずに紙面が膨れてしまうこと。

まとめ.大ロット印刷の強みを活かした発注

印刷から折り加工・断裁まで、ハイスピードで処理できる輪転印刷。身の回りの印刷物にも多く使われており、身近な印刷方法の一つです。

「短時間」で「大量」に「安く」印刷物を作成したいのであれば、輪転印刷を選びましょう!

しかし、用紙の種類が限られていたり少部数では割高になったり…注意しなければならない点もあります。

自分が作りたい印刷物が輪転印刷に向いているのかわからない…という方は、ぜひ当サイト『紙ソムリエ』にご相談ください。ロット、品質、予算、納期、用途など、さまざまな視点から最適な印刷方法をご提案いたします。

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