紙ソムリエの読み物

印刷の種類いろいろ!特徴とメリット・デメリットまとめ

「印刷方法がたくさんあるけど、それぞれの違いってなんだろう?」
「パンフレット作成したいけど、どの印刷方法がいいの?」
そのようなお悩みはありませんか? 

印刷の種類はいろいろあり、チラシやカタログ、封筒など印刷物の条件や目的に合わせた印刷方法が用いられています。
版の有無や使用するインキの違いなど印刷方法には明確な違いがあり、それぞれにメリット・デメリットがあるんです。
この記事では、四大印刷方法の特徴から使用目的別の分類まで詳しくご説明します!
まずは印刷の基本のキから学んでいきましょう!

1.基礎の基礎!四大印刷方法

1-1 平版印刷(オフセット印刷)

オフセット印刷とは、版を使用した印刷方法のことです。

版は印刷に使うハンコのようなもので、あらかじめ印刷する絵柄が焼き付けられた版にインクをつけ、それを一旦ゴムでできたローラーに転写(オフ)し、そのローラーを用紙に押し当てて(セット)印刷します。オフセット印刷の「オフセット」はこの工程に由来しています。 リトグラフの原理と同じです。

【特徴】
安定した品質で大量の印刷が可能
・細かい文字や線をはっきりと印刷でき、色むらのない綺麗な発色を出すことができる
・版の製作費用がかかってしまうため、少部数の印刷には不向き

オフセット印刷の版は、凹凸のない形をしています。
なぜハンコのように凹凸がないのに、インクが印刷したい部分にだけくっつくのでしょう。
その仕組みは、こちらの記事で詳しく説明しています。

1-2 凸版印刷(活版印刷)

最も長い歴史を持つ印刷方式が、凸版印刷(活版印刷)です。

文字や柄などの部分が凸状になった版を使用して(凸部分にインクをのせて)、直接用紙に圧力をかけて転写します。版は印鑑と同じ仕組みで、文字が逆向きになっています。印刷前に誤字脱字を見つけにくいので注意してください。

【特徴】
輪郭がはっきりとした仕上がりになるため、新聞など文字の多い印刷物に用いられている
・圧力をかけるので小さい文字や細かい柄はつぶれてしまったり、紙の種類によってはしわやよれが出てしまったりする

凸版印刷方式の一つに、フレキソ印刷(樹脂素材の版を使用する)があります。
樹脂素材の版は弾性があり、凹凸のあるものへの印刷に優れているため、段ボールやパッケージ、布などの印刷に多く使われます。
インキ選びの幅が広く、石油系溶剤を使わない水性インキが主に使用されており、さらに、低圧力で印刷を行うため、エネルギー消費量も抑えられ環境にやさしい印刷方式です。

1-3 凹版印刷(グラビア印刷)

凸版印刷とは逆に、金属製の版の凹部分にインクをのせて、用紙に転写する印刷方式が凹版印刷です。凹部分の深さによってインクの付着する量を調節し、色の濃淡を表現します。版画と同じ原理です。カラー雑誌の印刷に多く使用されていたことから、グラビア印刷とも呼ばれています。

【特徴】
・プラスチックフィルムなど印刷しにくい素材でも印刷できる
高品質で高濃度なカラー印刷を実現
・繊細で複雑な絵柄もきれいに印刷できるため、偽造防止対策として紙幣やパスポートの印刷に使用される
・耐久性のある金属製の版を使用するため、大ロットの印刷に向いている
・版の制作にコストがかかる

1-4 孔版印刷(スクリーン印刷)

孔版印刷(スクリーン印刷)は、版自体に穴をあけ、スキージというヘラでインクを押し出して印刷する方式です。かつては版にシルクを使用していたことから、シルクスクリーン印刷と呼ばれていました。現在は化学繊維のスクリーンが主流となっています。

半水性のインクを使用するので、乾燥しにくく色むらが出やすいです。しかし、それによってレトロな風合いが出て味のある印刷物になります。オリジナルTシャツ作りによく使われる印刷方法です。 

【特徴】
・版が柔らかいので、局面など、どんな形にも印刷できる
・紙はもちろん、布やガラス、樹脂板、ゴムなど幅広い素材に印刷可能
・印刷スピードが遅く、版の耐久性も低いので小ロット向き
・重ね刷りをするため、細かい表現が苦手

2.小ロットはこちら!オンデマンド印刷

2-1 オンデマンド印刷とは

オンデマンド印刷とは、版を必要としない印刷方法のことです。デジタルデータを印刷機に直接流し込んでそのまま処理するので、「製版」工程を省くことができます。それによって、短納期での制作が可能です。 

【特徴】 
・少部数を安価にスピード納品できる 
・内容変更にも素早く対応できる 
・色調表現などの品質はオフセット印刷に少し劣る 

2-2 オンデマンド印刷の種類・仕組み

オンデマンド印刷には大きく分けて「トナー方式(レーザープリント)」と「インクジェット方式」の二種類の印刷機があります。 

  • トナー方式(レーザープリント)

トナー方式は、粉状のインク(トナー)を使用して印刷する印刷機です。  

感光体ドラムを用いてレーザーをあてることでトナーを吸着させ、用紙に転写していきます。インクを熱で圧着させるので、乾かす時間がまったくかからず短時間で仕上げることが可能です。 

オフセット印刷に比べると色の再現性が劣りますが、文字の印刷に適しています。 

高温度でトナーを溶かして用紙に付着させるため、熱に弱い用紙には印刷できませんし、仕上がった印刷物を高温度のものに付着させると、印刷が剥がれる恐れがあるのでご注意ください。 

A6サイズ〜A3サイズの少ない部数の印刷に向いています。 

  • インクジェット方式

インクジェット方式は、紙にインクを吹き付けて印刷する印刷機です。 

印刷工程は非常にシンプルで、印刷機に内蔵されているインクをノズルでスプレーのように紙に吹きつけて印刷します。 

色の再現性が高く、家庭用のプリンターの大半がインクジェット方式です。 

大型だとオフセットでは難しいB0(1030mm×1456mm)サイズまで印刷することができます。 

2-3 オンデマンド印刷のメリット・デメリット

メリット】

・小ロットの場合、費用が抑えられる 
製版する必要がないため、コストを抑えて印刷できます。 

・短納期で対応が可能 
製版工程がない分、オフセット印刷よりも作業時間が短いです。
また、急な印刷にも対応可能です。 

・データの修正や一部変更にもすぐ対応できる 
版が不要なオンデマンド印刷は、内容に変更があってもすぐ対応できます。
また、DMや名刺のような一部だけ内容を変えたいバリアブル印刷も得意です。

・在庫コスト削減 
必要になったらすぐ印刷できるので、多めに刷って在庫を確保しておく必要がありません。 

デメリット

・大部数の印刷物には向かない 
大ロットの印刷の場合には、オフセット印刷のほうがコストを抑えられることが多いです。 
また、1部出力するのにかかるスピードはオフセット印刷に比べれば遅いため、一定量を超えるとかえって時間がかかってしまいます。

・オフセット印刷と比較すると 、仕上がりの質が少し下がる 
色の再現性や品質はオフセット印刷と比較するとやや劣ります。 
また、 特色印刷機能を持っていない場合が多く 、6色印刷などの特殊な印刷も難しいです 。

2-4 オンデマンド印刷に向いている印刷物

オンデマンド印刷に向いている印刷物の要素として、以下の点があげられます。

・印刷部数が少数
・短納期で納品して欲しい
・1部ごとに情報が異なるバリアブル印刷

たとえば・・・

・地域ごとに内容を変えて送るDM
・細かい内容に応じて複数の種類がある小冊子
・所属や名前部分を差し替えて何種類も印刷する名刺

「オンデマンド(On demand)=要求に応じてサービスを提供する」の名前のとおり、「必要なものを、必要なだけ、必要なときに」印刷できるのです。 

3.6つの使用目的別の分類[br]
 (商業・事務用・出版・証券・包装・その他)

印刷方式だけでなく、利用目的別にも分けられています。 

3-1 商業印刷物

一般の企業や団体の事業活動に用いられる印刷物のことで、宣伝用印刷物と業務用印刷物の2つに大きく分けられます。

宣伝用印刷物…パンフレットやチラシ、リーフレット、ポスター、POPなど
業務用印刷物…カタログや会社案内、社内報、名簿、マニュアルなど

商業印刷物は、華やかでインパクトのある見た目を重要視しているため、キャッチコピーや写真、イラストなどを多用した紙面構成で、カラー印刷が多いのが特徴です。

3-2 事務用印刷物

企業などの事務作業で使われる印刷物のことで、事務用伝票・事務用品・ビジネスフォームの3つに分けられます。

事務用伝票…納品書、請求書、領収書、複写式の伝票など
事務用品…名刺、封筒、ノート、手帳など
ビジネスフォーム…事務用伝票にミシン目やパンチ穴などの加工がされた印刷物

単色または2色程度の色で印刷され、文字の書き込みを目的とした紙面レイアウトとなっています。

社内で利用することの多い事務用印刷物ですが、会社オリジナルのロゴなどを印刷した名刺や封筒、請求書があれば、取引先に自社をアピールできるでしょう。

3-3 出版印刷物

出版社や新聞社などが発行する書籍、雑誌、参考書などの印刷物のことで、発行時期の違いによって、定期出版と不定期出版の2つに分けられます。

定期出版…週刊誌、月刊誌など(情報伝達を目的とする)
不定期出版…単行本や新書などの書籍(文章中心の読み物が多い)

出版印刷物は、表紙と本文で構成され、表紙は本文よりも厚手の用紙を使うことが多いです。
上製本、並製本については、こちらの記事を参照ください。

3-4 証券印刷物

金銭や信用にかかわる印刷物のことで、証券類とカード類の2つに分けられます。

証券類…金銭の代わりとして使用できる商品券や株券など
カード類…キャッシュカードやクレジットカードなどの金銭と同じ価値を持つ磁気カード

金銭の価値や信用を保つために、下記のような偽造防止の工夫が多く施されているのが特徴です。

・特殊な用紙(すき入れ、着色繊維入り、強度のある紙)
・特殊なインキ(偽造防止インキ、銀インキ、蛍光インキ)
・製版(彩紋、細線)
・印刷(コピーガード、透かし印刷、地紋印刷)
・加工(擬似エンボス、ホログラム箔押し、OPニス)
・その他(1枚ごとに異なる番号を刷り込む)

商品券やカード類のほかにも、イベントのチケットや宝くじの印刷にも証券印刷が使われています。

3-5 包装印刷物

モノを包装するための印刷物で、紙器包装用と軟包装用の2つに分けられます。

紙器包装用…商品箱やパッケージ、包装紙など(厚手)
軟包装用…フィルムやラベルなど(薄手)

紙器包装は、印刷がしやすいため箱の形やデザインに自由度があり、さらに古紙として再利用できるのがメリットです。

軟包装は、酸素などを通さないガスバリア性と防湿性を持つため、主に食品や医薬品の包装袋に使用されています。

3-6 その他の特殊印刷物

上記5種類に分類されないその他の印刷物が「特殊印刷物」です。 

蛍光インキなどの特殊インキや、箔押しなどの特殊加工が施された印刷物をはじめ、金属、布地、ガラス、建装材など、紙以外に印刷されたものを特殊印刷物とよびます。 

特殊印刷にはたくさんの種類があるので、目的・用途に合わせた方法を選んで、効果的な印刷物を作成しましょう。 

特殊な表面加工については、こちらの記事をご覧ください。

まとめ.目的に合わせた印刷方式を選ぶ

今回は印刷方式と印刷分類についてご説明しました。一言で印刷といっても、それぞれに向き不向きがあり、版の使い方や用途によって細かく分かれます。

はじめての印刷物作成だと、正しい印刷方式が選べているのか不安ですよね。
印刷会社に相談すれば、理想の印刷物を作れるだけでなく、予算や納期に合った最適な印刷方法を提案してもらえます!
あらかじめどんな印刷方式があるのか頭の片隅に入れておけば、よりスムーズに打ち合わせを行う事ができますよ。

当サイト『紙ソムリエ』がトータルでサポートしますので、ぜひ印刷のプロにご相談ください。

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