印刷物の見本は通常、納品直前に製品ができあがってからでないと確認することができません。
こだわりの印刷物であればあるほど、できれば製作を開始する前にしっかりと仕上がりを確認して、納得してから進められたらいいですよね。
そんなときに役立つ「束見本」をご存知ですか?
製作に進む前に束見本を作成し、実際の仕上がりやイメージを確認して、より理想的な印刷物を完成させましょう。
1.束見本とは?
1-1 束見本=印刷されていない本の見本
書籍などを作成する際、実製作に進む前に作成する見本のことで、読み方は「つかみほん」です。
扉、見返しなどの加工も含め、すべて実際に使用する用紙、製本方法で作成します。
印刷がされていないということ以外は、すべて完成品と同じ材料で作った本の見本とも言えます。
1-2 束見本でわかること
束見本を作ると、実製作に進む前に以下のようなことを確認しておくことができます。
- 印刷物の厚さ
- 印刷物の重さ
- 用紙の色味や風合い、手触りなど
- 冊子の開きやすさ
- 費用感
2.束見本はこんなときに作る
2-1 「背幅」を確認したいとき
背幅は紙の斤量(厚さ)からある程度計算することができます。
しかし、冊子などのようにページ数が増えていくと、数ミリ単位での誤差が出てきてしまいます。
なので、より詳細に背幅を知りたい場合には束見本を作ってみるのがおすすめです。
2-2 「重さ」を確認したいとき
背幅同様、重さも紙の斤量からある程度計算することができますが、誤差が生じます。
発送費をより詳細に算出したいときなどには束見本が役立ちます。
紙の重さの計算方法については、こちらも参照してみてください。
2-3 使用する「紙」を決めたいとき
紙の風合いや肌触り、色味などはやはり実物で確認した方がイメージをつかみやすいでしょう。
用紙の候補がいくつかあるときには、用紙を替えて何パターンか作ることもできます。
使用する用紙によって費用感も変わりますので、予算とイメージに合う用紙を確認するという点でも束見本の作成がおすすめです。
2-4 「開きやすさ」を確認したいとき
本が厚くなればなるほど、ページは開きにくくなり、ノドに近い位置にある絵柄が見えにくくなります。
ページ数の多い冊子を作る場合には、束見本で事前に確認しておくと安心です。
また、無線綴じやPUR製本など、製本方法によっても開きやすさは変わってきます。
2-5 冊子に合わせてケースやカバーを作りたいとき
先述の通り、冊子の厚さを斤量から算出しても、多少の誤差が生じます。
せっかくケースやカバーを作ったのにブカブカだったり、逆に小さくて入らなかったり…ということでは時間も費用も無駄になってしまいますよね。
ケースやカバーを作る場合には、まずは冊子の束見本を作り、その束見本に合わせてケースやカバーを設計することをおすすめします。
3.束見本に必要な情報はこれ!
束見本は、製作を依頼する印刷会社などに依頼すると作ってもらうことができます。
依頼時には下記の項目を伝えるとよりスムーズになるでしょう。
サイズ
仕上がりサイズ(タテ×ヨコ)を伝えましょう。
部分的にサイズが異なるパーツがある場合には、そのサイズや位置なども詳細に指定してください。
製本方法、ページ数
「中綴じ」「無線綴じ」などの製本方法を伝えましょう。
よく作られるのは中綴じや無線綴じなどの冊子物ですが、折り加工などでも作成可能です。
用紙(銘柄、色、斤量など)
用紙の銘柄、色、斤量を詳細に伝えましょう。
パーツによって使用する用紙が異なる場合には
例えば
・表紙:用紙の銘柄、(色)、〇〇㎏(斤量)
・見返し:用紙の銘柄、(色)、〇〇㎏(斤量)
・●頁~●頁:用紙の銘柄、(色)、〇〇㎏(斤量)
・●頁~●頁:用紙の銘柄、(色)、〇〇㎏(斤量)
というように細かく指定しましょう。
印刷用紙の基本的な考え方については、こちらで詳しくご紹介しています。
必要な部数
何部の束見本が必要かも伝えましょう。
必要部数によって値段が変わることもあります。
まとめ.束見本で思い通りの印刷発注を
束見本を作らずに印刷物の製作を進めることも可能ですが、サイズや厚み、重さなどの誤差を想定したとしても、理想の印刷物を作成するのはとても難しいことです。
細かい部分までこだわり抜いた理想の印刷物を作るなら、イメージやサイズの確認ができ、各費用の参考にもなる束見本は必須アイテムともいえるでしょう。
印刷会社へ依頼すれば簡単に作ることができますので、こだわりの印刷物作成に役立ててみてはいかがでしょうか?
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