紙ソムリエの読み物

高級感のある紙とは?おすすめと「特殊紙」の使い方まとめ

「こだわった印刷物を作りたい」「他社の印刷物と差別化させたい」…そんなときは「高級感」「特別感」のある紙を選んでみましょう。一般的によく使われているマット紙・コート紙・上質紙の高級な種類や、特殊紙と呼ばれる表面に凹凸がある紙、光沢が強い紙などを選ぶことで、マンネリ化しがちな紙選びのお悩みを解決できます!この記事では特におすすめの種類をご紹介していきます。仕上がりイメージに適した紙をぜひ選んでみてください。

1.紙は大きく分けて5種類[br]
  ―マット紙・コート紙・上質紙・情報用紙・特殊紙

1-1 よく使われるマット紙・コート紙・上質紙・情報用紙って?

紙にはさまざまな種類があります。なかでも、私たちの生活になじみのある紙といえば、マット紙・コート紙・上質紙・情報用紙の4種類があげられます。

【マット紙】
紙の表面につや消しのコーティング加工がされた紙を指します。マットコート紙とも呼ばれ、サラッとした質感を持ち、光沢が抑えられているのが特徴です。
目に優しく落ち着いた雰囲気を持っているので、パンフレットや会社案内など文字情報をしっかり読ませたい媒体で使われています。
また、インキが乗っても印刷面が比較的マットなままの「マット系」、インキが乗るとグロス感が出る「ダル系」の2種類に分けられます。

【コート紙】
紙の表面にコート剤が施された紙を指し、光沢がありツルツルした質感です。
インキののりが良く、色の再現性も高いため、ファッション雑誌の表紙、ポスターや折り込みチラシなど、写真の多い印刷物でよく使われています。

【上質紙】
紙の表面に何も塗布されていない紙を指し、若干ザラザラとした質感です。
光沢がなく目に優しいため、写真よりも文字が多い印刷物に向いています。筆記性にも優れるため、ノートや伝票、スタンプ帳、オフィスのコピー用紙などとして使われています。

【情報用紙】
情報処理システムへの入力媒体として使われている紙ですノーカーボン紙や圧着はがき用紙、宅急便の送り状で使われる複写用紙などが挙げられます。

これらのベーシックな紙については、詳しくはこちらの記事をご参照ください。

1-2 特殊紙って?

一般的な印刷会社では、マット紙、コート紙、上質紙・情報用紙以外の紙は「特殊紙」に分類されます。また、ファンシーペーパーとも呼ばれています。
表面に凹凸がある紙や光沢が強い紙、きらきらした塗工がされているものなどが特殊紙として扱われています。
では、どんな種類があるのか詳しくみていきましょう。

2.印刷するだけで「高級感」「特別感」のある紙17選!

2-1 高級なマット紙、コート紙、上質紙って?

なじみのある紙として紹介した3種ですが、その中でも表面の塗工量が多いものや、きめ細やかな質感や白色度が高い種類は、高級な紙として分類されています。いくつかご紹介していきます。

ハイマッキンレーディープマットスノー【マット系】

名前の通り、雪のような白さが特徴の紙です。インキがのってもマットなままなので、しっとりした質感で落ち着いた雰囲気を持っています。
会社のパンフレットや洋菓子店のパンフレットなどで使用されています。

ハイ-アピスNEO【ダル系】

マットで柔らかい紙肌で、印刷適正が高く、印刷面はグロス感が出る紙です。
ポスターやカタログ、美術書などに向いています。カラーバリエーションは、マックスホワイト・ウルトラホワイトがあります。


コート紙は、ランクが高くなると名称がアート紙、さらに高くなるとスーパーアート紙となります。

OK金藤

光沢が強く、印刷の再現性も高い紙です。位置づけとしてはコート紙のワンランク上の紙、というイメージでしょう。 インキののりが良く、高級感も出るので、写真が多く載るカタログやパンフレットなどに向いています。アート紙に分類されます。

SA金藤

光沢、白色度、印刷の再現性がとても高い最高級の紙です。質感も滑らかで、OK金藤よりも光沢が強く、鮮やかな色調を表現することができます。
高級感も出るので、高いクオリティを求められるカタログや美術書、パンフレットなどに向いています。アート紙よりもさらに高品質なスーパーアート紙に分類されます。

色上質 白

色上質と聞くと、カラフルな色を想像されるかと思いますが、実は「白色」も存在します。
通常の上質紙よりも圧倒的に白色度が高いのが特徴で、用紙の厚さが「特薄口」「薄口」「中厚口」「厚口」「特厚口」「最厚口」「超厚口」の7種類と豊富です。
その白さから、封筒や冊子の見返しなどに使われています。

ホワイトエクセルケント

少し青みのある白色が特徴のケント紙で、「白さに秀でたケント紙」という意味を持ちます。
塗工はされていませんが、しっとりした質感を持ち、製図用や名刺やはがき、カードなどで使われています。

2-2 特殊紙 落ち着いた雰囲気シリーズ

アラベール

表面に塗工していない、画用紙のような質感の紙です。落ち着いた発色が特徴で、優しい上品な仕上がりになり、挨拶状や優待券などのチケットで使われています。
カラーバリエーションは、スノーホワイト、ホワイト、ナチュラル、アッシュグレー、オータムリーブ、プリムローズ、スレートブルー、セージグリーン、ウルトラホワイトの計9種類です。

ヴァンヌーボV

発色が良く、風合いと印刷適正の性質を両立させた、ラフ・グロスの代表格の紙です。
紙の表面は凹凸した質感で、上品で高級感のある印刷物に適しており、会社案内などの冊子や挨拶状、封筒などで使われています。
カラーバリエーションは、スノーホワイト、ホワイト、ナチュラルがあります。
また、ヴァンヌーボにはヴァンヌーボVGやヴァンヌーボスムースなど類似の種類が多くあり、シリーズ化されていますので、用途に合わせて選ぶことができます。

里紙

日本の風土と自然に調和した、優しさと素朴さを感じさせる紙です。紙の表面は凹凸した質感で、カラーバリエーションが50種類もあるのが特徴です。
懐かしさを感じさせる風合いから、本の見返しやグリーティングカード、封筒などに使われています。

OKフェザーワルツ

紙の中を舞い上がる柔らかな羽毛のような模様が印象的な紙です。柔らかな質感と優しく繊細な雰囲気が特徴で、封筒や挨拶状などに使われています。
カラーバリエーションは、雪、しんじゅ、らくだ、鼠、象牙、桜、藤、水、若草の計9種類です。

マーメイド

特殊なフェルトで型押しした凹凸が特徴の紙で、ざらざらした質感です。穏やかな波のような風合いから「マーメイド」と名づけられました。デザイナーの原弘氏監修のもと作られ、カラーバリエーションは60種類にも及びます。
優しくソフトな印象があるので、名刺や挨拶状、封筒などにおすすめです。

2-3 特殊紙 華やかなシリーズ

SPECIALITIES(スペシャリティーズ)

五條製紙株式会社が製造しているメタリック調、またはパール調の特殊紙のブランドネームです。
表面にアルミホイルが蒸着してあるものや、パールが施されているもの、ホログラムになっているものなどラインナップが豊富です。
パッケージやDM、POPなど、印刷技術だけでは再現できないインパクトの強い印刷物が作りたいときにおすすめです。

キュリアスメタル

金属のような輝きときらめきが華やかなパール調の紙で、つるつるした質感です。繊細で優美なイメージを表現でき、高級品のパンフレットの表紙やポスター、POPなどで使われています。
カラーバリエーションは厚さによって異なりますが、ホワイト、ゴールド、クリーム、シルバー、ダークグレー、ライトグレー、アイスシルバー、インク、レッドラッカー、チョコレート、スーパーゴールドの計11種類です。

パルルック

真珠のような輝きをイメージし、「パール」と「ルック」を合わせ「パルルック」と呼ばれています。
真珠のようにクリームがかっていて白すぎない色味が特徴で、上品な光沢があり、パンフレットの表紙や挨拶状などで使用されています。
カラーバリエーションは厚さによって異なりますが、スノー、ホワイト、スーパースノー、トワイライト、トワイライトゴールドの計5種類です。また、エンボス無しのプレーンの他に、ヘヤーライン・アラレ・クモ・フラッシュ・グリーム・本絹の6つのエンボス柄が入った種類もあります。

ペルーラ

スペイン語の「真珠」が語源で、名前の通りきらきらしたパール調の紙で、つるつるした質感を持っています。
カラーバリエーションはスノーホワイトとホワイトの2種類です。
発色も良く、上品で華やかな印象なので、アパレル関係のカタログや、挨拶状、DM封筒、化粧品の外箱などに使われています。

OKミューズキララ

金箔のような模様が散りばめられた、和の雰囲気がある煌びやかな特殊紙です。
凹凸はほぼなく、豪華さの中にも和風ならではの温かみも感じられ、挨拶状や封筒に使われています。
カラーバリエーションは、ホワイト、ナチュラル、グレー、ブラック、ピンク、パープル、スカイ、ミントの計8種類です。

2-4 番外編 ユポ紙

ユポ紙…この言葉を聞いたことはありますか?
この紙は、選挙の投票用紙や選挙ポスター、自動販売機のポスター、お風呂で使う教材など、実は私たちの身近なところで使われています。
使用例の通り、ユポ紙とは優れた耐水性と耐久性を持った合成紙(※)です。
「破れにくい」「油・薬品に強く、軽い」「表面が滑らか」「印刷が綺麗」という特徴を持っています。また、資源としてリサイクルすることも可能です。
※合成紙…合成樹脂(プラスチック)を主原料として製造された紙

3.特殊紙のメリット・デメリット

ここでは、特殊紙のメリット・デメリットをみていきます。

3-1 特殊紙のメリットは?

・種類が豊富
最大のメリットです。さまざまな会社が独自の特殊紙を製造しているため、その中から仕上がりイメージに合ったものを選ぶことができます。また、色の種類も多く、組み合わせは無限大ともいえます。

・唯一無二のものを作れる/ブランディングにおいて差別化を図れる
特殊紙を選ぶことで、一般的な印刷物とは異なる唯一無二のものを作ることができます。こだわって完成した印刷物はお客様にインパクトを与え、販促品や訴求内容に込めた想いもより感じ取ってもらえるはずです。また、埋もれがちな印刷物でも質感や見た目が異なるため、手に取ってもらえる機会も増えるでしょう。

たとえば宝飾品や不動産関係に使われるパンフレット、包装紙、外箱、紙袋などを考えてみてください。一生にそう何度とない、決して安くはないお買い物で、その周りにある紙まで高級感がこらされていたら、購買意欲や満足感も変わってくる気がしないでしょうか。
逆にそういった場面で使われるアイテムが、新聞の折り込みチラシや真っ白なボール紙のような紙で飾り気なく印刷されていたら、なんだか少し安っぽいなという印象を抱かれてしまうかもしれません。紙にこだわるということは、ブランディングにおいても重要です。

3-2 特殊紙のデメリットは?

・金額が高い
マット紙、コート紙、上質紙と比べると金額が高いです。予算と相談しながら決めていきましょう。

・在庫確認が必要
マット紙、コート紙、上質紙はよく流通しているため、比較的入手しやすいです。
しかし、高級なマット紙、コート紙、上質紙や特殊紙はそこまで流通していないため、気になる種類がありましたら、必ず事前に在庫確認をしてください。
在庫が無い場合、抄造(しょうぞう)と言って、紙を作る必要が出てきます。納期が遅れるだけでなく、抄造に必要な注文数に達していないと申請自体無効になることもありますので、十分に注意が必要です。

まとめ.差をつける紙選び

今回は、高級紙・特殊紙をテーマにご紹介しました。本文でもお伝えしましたが、何と言っても種類の豊富さが魅力です。そのほかのメリット・デメリットも併せて確認しながらイメージを膨らませていってください。商材によっては、その販促物や包装に特殊紙を使うだけで、商品や企業に対するイメージを左右する効果があるので、多少予算をかけてでもブランディングしたいというときにはおすすめです。「種類が多くて大変そう…」と思われるかもしれません。当サイト『紙ソムリエ』でも幅広く取り扱っておりますので、お気軽にご相談くださいね。

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