「屋外で使用できる長持ちするシールが作りたい」
「商品を目立たせるPOPシールを貼りたい」
「剥がしても跡が残らないラベルに仕上げたい」
バリエーションが豊富なタック紙なら、このような希望も叶えられます。目的や用途に合わせて作成可能です。
この記事では、タック紙の構成から各素材の選び方までわかりやすくご説明いたします。
使用シーンに合った、オリジナルシールを作っちゃいましょう!
1.タック紙の構成・機能
1-1 タック紙とは
シールやラベル、ステッカーなどの、裏面に接着剤が塗布された紙のことです。
タック紙は、次の3つの要素で構成されています。
実際にシールやラベルとして使用する「表面基材」
タック紙の特徴といえる糊部分の「粘着剤」
粘着面を保護する台紙で、使用後は廃棄される「剥離紙」
この3つの要素には、それぞれに種類があり、バリエーション豊富です。
表面基材の風合いや張り付けるものの素材、保存期間などによって組み合わせはさまざまです。
詳しくは後ほどご説明します。
1-2 タック紙の機能
シールやラベルと聞くと、いろいろな場面で使われているのを見かけますよね。
普段何気なく使っているタック紙には、役立つ機能がたくさんあるんです。
・内容物の情報を正確に伝える
内容物の詳細が記載されたラベルがあれば、安心して商品を手に取ることができます。
例:食品ラベル…原材料名や賞味期限、栄養成分表示など
宅配便で使用する送り状…お届け先の情報や品名、お届け日など
・商品の魅力を向上させる
POPシールが貼られた商品は、たくさんの商品が並んだ陳列棚でも人目を引きます。また、商品の特徴や使用方法を分かりやすくお客様に伝えることができます。
例:ペットボトル飲料やシャンプーボトルなど
・高級感を演出する
商品の表面にキラキラとした光沢のあるラベルを貼ることで、高級感を出すことができます。
例:香水やルームフレグランスなど
・個人情報を保護する
貼ったあとにキレイに剥がせる「目隠しシール」を使えば、氏名や住所、電話番号などの個人情報を保護することができます。
例:申込書や懸賞はがきなど
2.タック紙の表面基材と選び方
タック紙の3要素のうち、実際に印刷が施されるのが「表面基材」です。
表面基材は「紙素材」と「フィルム素材」の2つに大きく分けられます。
ここでは、それぞれの特徴や代表的な素材をご紹介します。
2-1 紙基材の特徴と代表的な素材
【特徴】
素材本来の質感をデザインとして活かすことができ、箔押し・エンボスなどの加工がしやすいのが特徴です。
フィルム素材に比べると価格は安いですが、耐久性と耐水性が弱く屋外や水回りに向きません。
【代表的な素材】
・上質紙
パルプ100%で作られた紙で、表面は光沢のないマット調をしており、筆記耐性に優れている。少しざらざらとした手触り。
例:ロゴシールや荷札など
・アート紙
上質紙の表面にコーティングを施した紙で、少し光沢があり、印刷や加工に適している。
例:POPシールやバーコードシール
・ミラーコート紙
アート紙よりさらに表面がなめらかで光沢がある紙で、カラー印刷に優れている。基本的に用途はアート紙と同じで、アート紙よりも光沢感を求める場合にミラコート紙が使われる。
・ホイル紙
上質紙の表面にアルミ箔を貼り合わせた紙で、金色と銀色のそれぞれツヤ有・ツヤ無タイプがある。
例:食品ラベルなど
・和紙
和紙の持つ独特な質感で、落ち着いた雰囲気と高級感を出したいときにおすすめ。無地のほか、紙の繊維を利用した雲竜柄などの種類がある。
例:包装用ラベル、ギフト用シールなど
2-2 フィルム基材の特徴と代表的な素材
【特徴】
耐久性と耐水性に優れており、屋外や水回りでも使用できます。しかし、紙素材に比べるとコストがかさみます。
【代表的な素材】
・ユポ
ポリプロピレンを主原料とした素材で、耐久性・耐水性・耐油性・透明性に優れている
・PET
リサイクルに適したポリエチレン系の素材で、耐熱性が高く、強度に優れている
・塩ビ
塩化ビニルから製造された紙で、耐久性・耐水性に優れている
ステッカーとして多く利用される
他にも、紙に似た質感で、印刷・筆記にも適している上に耐水性にも優れている、紙とプラスチックのいいとこどりをした「合成紙」もあります。
使用する場面・コストをふまえてぴったりな素材を選びましょう。
3.タック紙の粘着剤と剥離紙
3-1 粘着剤
一度貼ったあとに「剥がす」か「剥がさない」かなど、用途によって使用する粘着剤が異なります。
一般的に、剥がさず使用するものを「強粘着」、剥がしやすいものを「弱粘着」といいますが、さらに細分化されており、用途に合わせて使い分けることができます。
・一般接着
標準タイプ(紙とフィルムのどちらの表面基材にもよく使用される)
貼り付ける場所は平面で、常温で管理されるものに使用
・強粘着
長期間貼り付けることを目的とし、屋外用や曲面など、耐久性や剥がれにくさを要するときに使用
・超強粘着
強粘着よりさらに強力な糊で、超トイシ、トイシ用糊とも呼ばれる
主に工業用に使用
・再剥離
跡を残さずに剥がすことができる
例:食器などに貼っている表示シール
・冷食糊
通常タイプの糊は温度が低い環境だと粘着力が弱くなるが、冷食糊は耐冷性に優れている
ミラコート紙やユポなどの表面基材との組み合わせがおすすめ
・再貼付
一度剥がしたあとでも、再度貼り付けることができる
例:付箋
3-2 剥離紙
剥離紙は粘着面を保護する台紙のことで、セパレーターともよばれています。
使用後は廃棄されるため、最近ではリサイクル可能な素材が人気となっています。
・クラフトセパレーター
クラフト紙の剥離紙で、紙は厚めで主にシート仕上げのラベルに用いられる
・グラシンセパレーター
グラシン紙の剥離紙で、紙は薄めで固く主にロール仕上げのラベルに用いられる
・フィルムセパレーター
透明フィルムの剥離紙で、主にラミネート素材やキャラクターシールに用いられる
4.タック紙の加工と仕上げ
4-1 ラミネート加工
ラミネート加工とは、印刷面に透明なフィルムを張り付ける加工のことです。表面の摩擦や汚れ、色あせから保護し、水による劣化を抑えることで耐久性があがります。種類によっては日光からも守れます。
インクが剥がれてしまった、色が変わってしまった…ということがないよう、ラミネート加工で汚れや劣化から守り、長持ちさせましょう!
・つやあり
グロスタイプ。光沢感があり、色鮮やかで明るい雰囲気
・つやなし
マットタイプ。落ち着いて上品な雰囲気。反射が少ないため屋外やライトアップの激しい場所におすすめ
・ホログラム
光の入り具合や角度によって変化するので、特別感やデザイン性が出る。偽造防止などのセキュリティラベル(コピー防止表記やブランド認証)としても使われる
・UVカット
日光による退色を抑える
・オーバーラミネート
印刷面より大きなサイズのフィルムを貼り付けることで水や湿気から守る
・ハーフラミネート
フィルムの一部に裏紙を残し、ラミネートが貼られていない印刷面に記入後貼り付ける
つやあり+UVカットなどの合わせ技も可能です。いろいろな組み合わせで商品に付加価値をもたせましょう!
4-2 抜き加工
タック紙を好きな形に整える抜き加工には、2種類あります。
・半抜き加工(ハーフカット)
剥離紙を残し、表面基材と粘着剤のみカットすること
シールが剥がしやすいので、ラベルなど内々で使用するシールは半抜き加工がおすすめ
・全抜き加工(フルカット)
剥離紙までカットすること
シールが剥がしにくい→剥離紙にスリットを入れて剥がしやすくすることも可能
キャラクターやロゴなど、ノベルティのステッカーは全抜きの方が見栄えがよくなる
4-3 仕上げ
・ロール仕上げ
シールをロール状に巻いた状態で、順々に同じシールを貼る時に使用されます。ラベルを機械で貼る場合にはロール仕上げを選びましょう。
シールが内側にくるように巻かれた内巻と、外側にくる外巻があり、シールの向きも右出し・左出し・天出し・地出しと4種類あるので発注の際は注意しましょう。
・シート仕上げ
1シートに複数のシールがある状態です。訂正シールや商品に貼るシールなど手作業で使うシールにおすすめ。
ハーフカットした後に不要な部分を取るカストリ(カス上げ)をしておくと、シールが貼りやすくなります。
・一枚カット仕上げ
シールを一枚ずつカットした状態です。余白部分のカストリを行い、貼りやすくなっています。
・一枚断裁仕上げ
同じくシールを一枚ずつカットした状態ですが余白がありません。ステッカーなど、デザイン重視の方におすすめ。
その他、POPラベルなどによく使われる「糊殺し」があります。糊付けした後、粘着力をなくしたい部分にニスを塗って、あえて一部だけ粘着力をなくす加工です。店頭で商品が目立つだけでなく、使用する際にラベルが剥がしやすいというメリットがあります。
まとめ.使用シーンを想定して賢く組み合わせる
印刷を施す「表面基材」・糊の役割をはたす「粘着剤」・粘着剤を保護する「剥離紙」の3つの要素からなるタック紙。一般的な印刷物と比べると、いろいろ選ぶことがあって難しそう…と思うかもしれませんが、目的に合わせて一つ一つ選んでいけば、機能的で美しい理想のステッカーやラベルが作れるはずです!
当サイト『紙ソムリエ』では、利用シーンやご予算に合わせて最適な素材や加工をご提案します。お気軽にご相談ください。素敵なシール作りをお手伝いいたします!