「ラミネートやパウチという言葉を聞いたことはあるけれど、違いがわからない」
「印刷物の防水性や耐衝撃性を高めたい」
「厚みのある丈夫な印刷物を作りたい」
こんなお悩みはございませんか?
この記事では、ラミネートやパウチの基本情報から両者の違い、おすすめの活用方法まで解説します。
一見似ているようで実は全く違う加工方法のラミネートとパウチ。仕上がりや得られる効果も異なりますので、一つずつ学んでいきましょう。
1.ラミネート(パウチ)とはなにか
まずは、それぞれの基本情報から見ていきましょう。
1-1 ラミネートとは
「貼り合わせる」という意味を持つ加工のことで、印刷物の片面に透明フィルムを糊圧着させて仕上げていきます。熱を使わないため「コールドラミネート」とも呼ばれています。
加工することで印刷面を保護したり、綺麗に魅せたりする効果が期待できます。
使用する透明なフィルムの素材はさまざまで、ポリエステルやポリプロピレン、塩ビ、アクリルなど多くの種類があり、中にはUV加工が施されているものもあります。
選ぶ種類によって、品質や耐久性などが変わっていきます。さらに「つやあり」「つやなし」「ホログラム」など、いろいろな透明フィルムの素材があります。サンプルを取り寄せるなどして試してみてください。
◎メリット
・写真や色彩を鮮やかに魅せられる
・印刷面を保護できる
・透明フィルムに多くの素材があるため、用途に合わせて選べる
×デメリット
・防水性や耐久性がパウチ加工と比べると劣る
・片面加工のため折り曲げるとシワになる
1-2 パウチとは
「包み込み」という意味を持つ加工のことで、印刷物より一回り大きな透明フィルムで両面から包み込んで密封します。密封させるときに熱で圧着させるため「ホットラミネート」とも呼ばれています。使用する素材は、ポリエチレンです。
全体を包み込む加工のため、厚みが出て硬く仕上がります。防水性や耐久性に優れており、長期間の使用や保存に向いています。
◎メリット
・防水性・耐久性が優れている
・長期使用・保存に向いている
×デメリット
・ミミと呼ばれる透明なフチ(接着面)が必要なため、見た目があまりスマートではない
・硬く仕上がるため、丸めて持ち運んだり保管したりできない
一昔前、パウチッ子という言葉が印象的なCMが放映されていました。パウチッ子とは、家庭用パウチラミネートの機械の名前だそうです。今はパウチッ子という言葉は使われませんが、家庭用のパウチラミネート機は手軽に購入できるので、パウチ加工は身近な加工といえるでしょう。
1-3 グロスかマットか選べる!
ラミネートはグロス調かマット調、パウチはグロス調に仕上げることができます。
グロスは、光を反射しやすく表面がつるつるした仕上がりになります。鮮やかな色彩表現が得意で、写真やカラフルなイラストが使われている印刷物に適しています。
光沢がありますので屋内で明るい雰囲気を出したいときにおすすめです。
マットは、グロスとは異なり光の反射を抑えるので落ち着いた雰囲気を出すことができます。
反射が少ない分、直接日光や照明が当たる環境でも絵柄や文字の視認性が高くなりおすすめです。
使う環境や印刷物の雰囲気などで選んでみてくださいね。
2.ラミネートとパウチの比較
続いて、ラミネートとパウチを比較していきます。どのような点が異なるのか見てみましょう。
2-1 加工方法の比較
ラミネートは、片面のみに加工します。
パウチは、両面に加工を加えます。
片面加工か両面加工か、大きな違いですのでご注意ください。
2-2 防水性・耐衝撃性の比較
ラミネート加工は表面のみに施す加工なので、片面加工の場合に、裏面から両面ラミネート加工をしたとしてもその断面から水分や湿気の影響を受けることがあります。また、ラミネート加工は薄いフィルムによる加工ですので、折れてシワが入るのを防ぐことはできません。
それに比べて、両面から包み込むように加工するパウチは、ラミネートよりも防水性が高いです。また、ラミネートよりもパウチの方が分厚く硬い仕上がりになりますので、耐衝撃性も高くなります。
2-3 見た目・仕上がりの比較
一番分かりやすい違いかもしれません。
ラミネートは、見た目がグロス調かマット調になるという違いだけで仕上がりサイズの変更もありませんが、パウチは、ミミと呼ばれる透明のフチが必ず出てきます。ミミは熱圧着させるときに出てくるため、元の用紙サイズよりも四方が5~10ミリ程度大きく仕上がります。
3.用途別!使い分けのススメ
続いて、ラミネートとパウチの使い分けについてご説明します。どんな風に仕上げたいかによっておすすめの活用方法が変わってきます。
3-1 写真・仕上がりを重視したいならラミネートがおすすめ!
写真が多く入った印刷物を作成したい場合や仕上がりサイズを変更したくない場合は、ラミネートがおすすめです。
鮮やかな発色が再現できるのはもちろん、グロスかマットか選ぶことができて仕上がりのイメージも広がりますし、ミミもありませんので見た目がスマートです。
また、UV加工が施されている素材を使うことで、紫外線による色あせを遅らせる効果も期待できます。
3-2 長期間使い続けたいならパウチがおすすめ!
長期間使い続けたり、保管したりする場合はパウチがおすすめです。
両面に加工が施されているため防水性が高いのはもちろん、分厚く硬い仕上がりになるので折れたり破けたりする心配がありません。レストランやファストフード店のメニュー表、営業所の料金表などさまざまな場所で重宝されています。
まとめ.印刷物を長持ちさせる秘訣
今回はラミネートとパウチについて取り上げました。二つの大きな違いは、加工する面が片面か両面か・ミミが付くか付かないかの2点です。
また、防水性や耐衝撃性を高めることによって、印刷物が長持ちしゴミを減らすことができます。ちょっとしたこのひと手間が環境保全につながっていきますね。
ほかにも知りたいことやご不明なことなどがありましたら、当サイト『紙ソムリエ』にお問い合わせください。