印刷物の画像の中に縞模様が見えたことはありますか？これはモアレと呼ばれ、意図せず発生してしまう現象です。別名で「干渉縞」と言われます。
画像が見づらいと印刷物自体の印象が変わってしまうので、できる限りモアレの発生を防ぎたいですよね。
モアレが発生してしまう原因やその対策方法について、一緒に学んでいきましょう。
1．モアレの正体とは？原因は？
1-1 網点とモアレの関係
＜網点について＞
モアレが発生してしまう原因は、網点にあります。
網点とは、オフセット印刷で色を表現するために生成される非常に細かい点のことです。その点の大きさや密度によって色の濃淡が表現されており、CMYKそれぞれの網点を生成し重ね合わせることで、さまざまな色合いを作り出しています。
＜モアレについて＞
モアレとは、規則正しく並べられた網点同士が干渉しあうことで発生する縞模様のことです。網点は本来一定間隔で整列していますが、角度のずれなどによってお互いが干渉したときにこうした現象が起こります。
「元画像のようにきれいに見えない」「画像がにじんで見える」といった問題が起きる前に対処することが大切です。
1-2 モアレの発生原因について
モアレの発生を防ぐために、まずは原因について知っていきましょう。
画像の拡大・縮小
画像のサイズを過度に拡大・縮小させることで、モアレが発生しやすくなります。
網点には、お互いに干渉が起こらないように色ごとで決まられた角度（Cは15°、Mは75°、Yは30°、Kは45°）があります。
しかし、過度な拡大・縮小を行うことでこの角度が崩れるとアンチエイリアスがかかります。
アンチエイリアスとは、斜線や曲線などに生じる細かな段差上のギザギザした部分（ジャギー）を目立たなくするために中間色を置く手法なのですが、こうした中間色が置かれることで画像の一部がぼやけてモアレが発生するのです。
スキャンした画像
スキャナーで取り込んだ画像をそのまま印刷に使用するとモアレが発生する可能性があります。これは元々取り込んだ画像の持つ網点と、印刷の際に作る網点が干渉することによるものです。
細かい背景の模様
水玉を敷き詰めた模様やいくつものストライプが走る模様は、模様の細かさから網点同士の距離も近くなるため、モアレが発生しやすくなります。
トーンを使ったデータ
異なる模様のトーンを重ねて貼るとそれぞれは整列した網点であっても、それらが重なることで不規則になり、お互いが干渉しあうことでモアレが起こってしまいます。
2．どうすればモアレを防げる？
モアレが発生するのには、4つの原因があることが分かりました。
それでは、どのように対処したらモアレを防げるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
2-1 画像処理ソフトによる修正
画像の拡大・縮小は画像処理ソフトで行うようにしましょう。
水玉を敷き詰めた模様やいくつものストライプが走る模様など、モアレが起きることが予想されるものについては、illustratorではなくPhotoshopなどの画像処理ソフトで対応しましょう。
先に画像処理ソフトで拡大・縮小させた画像をillustratorに取り込むことで、モアレの発生を防ぐこともできます。また、ぼかし（ガウス）機能やシャープネス処理で画像を調整することにより、モアレを軽減させることもできますよ。
2-2 解像度の調整
高解像度でスキャンする
スキャナーの機種によってはモアレ防止機能がついているものがあります。そうした高性能なスキャナーを使用することがモアレ対策になります。また、Photoshopなど画像処理ソフトを用いる場合、高解像度（480dpi以上）でさらにスキャンすることで同様の効果を得ることができます。
解像度を調整する
低解像度のデータを高解像度に編集するといった解像度の変更を行うことでもアンチエイリアスがかかり、モアレが発生します。データの内容に応じた適切な解像度で作成することが重要です。
まとめ．モアレが出そうな画像に注意する
モアレが発生する原因や対策方法についてご理解いただけましたでしょうか？
きれいな印刷物を作るために、網点・モアレについて正しく理解することが大切です。
モアレは印刷物の印象を左右するので、できるだけ防ぐよう対策することが求められます。
今回ご紹介した対策方法で事前にモアレを防ぐこと、さらに原稿作成時点でモアレが出にくいデータに調整することも大切です。なにか分からないことがありましたら、お気軽に当サイト『紙ソムリエ』へご相談ください。
