文章を書いてみたけど、
「作成したパンフレットに誤字脱字がないかな…」
「印刷後のチラシにミスが見つかったらどうしよう…」
と不安になる方も多いのではないでしょうか。
そんな不安を解消するのが校正です!
この記事では、「初めての校正で何に気をつければ良いのか分からない」「校正記号って何?どうやって書き入れたら良いの?」という校正初心者にも分かりやすいように、校正用語から校正のコツまで、詳しく解説します。
誰が読んでも分かりやすい文章を作成していきましょう。
1.基本的な校正手順と校正用語
1-1 そもそも校正とは? 校閲・推敲・査読と何が違うの?
「校正」とは、作成中のコンテンツに誤字脱字や表記のゆれがないかを確認して、正しく修正する作業のことです。
一方で「校閲」とは、原稿の内容(表現、事実関係など)に誤りや矛盾がないかを確かめ正すことをいいます。
「校正」と「校閲」の違いを簡単にまとめると、「表記の誤りを修正する」のが校正で、「内容の誤りを修正する」のが校閲
となります。
また、「校正」「校閲」と似たような言葉に「推敲」「査読」があります。
「推敲」は、より優れた読みものにするため、文章を何度も読んで練り直すこと、「査読」は、論文などに対し、研究者や専門家がその内容を査定することです。
ちなみに、印刷物を作成する際には「色校正」という言葉もよく耳にします。「色校正」とは色彩の違いなどを確認する校正のことです。色校正についてはこちらの記事で詳しく説明していますのでご参照ください。
1-2 校正の基本ルール
まずは、校正の基本的なルールから学んでいきましょう!
・印刷・出力した紙に、赤字で書き込む
修正指示が間違って伝わらないように、赤字でわかりやすく丁寧に書きましょう。
・修正指示は文字の上に書くのではなく、近くの余白に記す
元の文字が読めないくらいに塗りつぶさないようにしましょう。
・ホワイト(修正テープや修正液)はできるだけ使わない
剥がれてしまう恐れがあるので、あまりおすすめしません。
ただし、修正が重なり見づらくなってしまう場合は使うのもありです。
・修正指示は原則カタカナで書き込む
校正する文章は主に漢字とひらがなで書かれています。原文との区別がつきやすいように、修正指示はカタカナで書きましょう。
1-3 校正用語
校正の時によく使う用語をまとめました。
ゲラ
校正を行うための試し刷りのこと。校正刷り、カンプともいう。
初稿
最初の原稿のこと。
初校
1回目のゲラのこと。2回目のゲラは「再校」、3回目のゲラは「三校」という。
素読み
原稿の意味や内容を考えずにゲラを読み、誤字脱字などの間違いを見つけること。
読み合わせ
二人一組となって、一人が原稿を読み上げ、もう一人が原稿を確認すること。
二人で行うため、間違いを発見しやすく見落としが少ない。
突き合わせ
元の原稿とカンプを一字ずつ読み比べること。
一人で行うため、読み合わせに比べると見落としが多くなる可能性がある。
朱書き
原稿や校正で印刷された紙に、赤ペンで修正指示を書き加えること。
朱字(あかじ)ともいう。
校了
校正終了の略で、印刷しても良い状態を指す。お客様側で最後の校正が完了したこと。
責了
責任校了の略で、簡単な文字修正や差し替えなどの場合に、最終的な確認を印刷会社側が責任を持って行うこと。
出張校正
発注者が印刷所などゲラのあるところに出向いて行う校正のこと。
2.校正記号はこれだけ押さえて!
2-1 校正記号表
校正記号とはJIS(日本産業規格)で規定された記号で、校正紙に訂正指示を入れるために使用します。
訂正指示をできるだけ簡単に表記するために作られたもので、全国共通で使われています。
「校正記号は種類が多くて覚えるのが大変そう…」「使いこなせるか心配…」という方へ、これだけは押さえて欲しい校正記号をお伝えします!
(1) 文字の修正
1文字の場合は斜線を上書きするのが原則ですが、丸で囲むこともあります。
2文字以上の場合は、最初と最後の文字に斜線を引き、間の文字を横線で上書きします。または文字列を囲みます。
(2) 削除(トルツメ、トルアキ)
削除したい部分の最初と最後の文字に斜線を引き、間の文字を横線で上書きします。
そして、余白に引き出し線を出し「トルツメ(トル)」と明記します。
トルツメに対し、削除したスペースをそのまま余白として残す場合は「トルアキ(トルママ)」と明記します。
(3) 文字を挿入する
挿入したい箇所に「Λ」を書き込み、引き出し線ともう一本の線で挿入する文字を囲みます。
(4) 文字を入れ替える
前後の文字を入れ替える場合は、「逆S」または「S」を書き込みます。
離れた文字を入れ替える場合は、それぞれ丸で囲み矢印で入れ替えの指示をします。
(5) 修正の取りやめ(イキ)
取り消したい修正指示に赤字で線を引き、近くに「イキ」と明記します。
(6) 文字サイズ
変更したい文字の上に半円を書き込み、さらにその上に「○ポ」と変更後のサイズを明記します。(ポ…ポイントの意味)
(7) 書体の変更
変更したい文字を丸で囲み、引き出し線を引き、ゴシック体に変更する場合は「ゴチ」と明記します。
明朝体に変更する場合は丸囲みで「明」と明記します。
(8) 大文字・小文字に直す
修正したい文字の下に三本線を書き込みます。
または、修正範囲を丸で囲み「大」または「cap」と書き込みます。
小文字にするときは、下線は引かず、修正範囲を丸で囲み「小」と書き込みます。
(9) 字間調整
文字間に空きがない状態(ベタ組)にする場合、文字間に「Λ」を書き込みます。
または文章全体にフタをかぶせるような線を書き込みます。
(10) 均等割り付け
文字の間隔を均等にしたい場所に丸囲みで「均等」と明記します。
間隔を開けて均等割りにする場合は、文字間に「V」を書き込みます。
間隔を詰めて均等割りにする場合は、文字間に「Λ」を書き込みます。
また、範囲を指定して均等割りにする場合は、文章にフタをかぶせるような線を書き込みます。
(11) 左寄せ・右寄せ
寄せたい位置に縦の線を書き、寄せたい文字の頭まで横線を引く、寄せる文章の最後に図のような記号を書き込みます。
(12) 改行変更・改行取りやめ
段落を変えたい箇所に「逆Z字」を書き込みます。
改行したい段落の最後と次の行の最初を曲線で繋げます。
(13) 句読点
句読点を入れたい箇所に「Λ」を書き込み、その内側に句読点を書きます。
ピリオド( . )とカンマ( , )も同じように書き込むため、句読点と間違えないように注意してください。
ちなみに、紛らわしい文字は、記号だけでなく言葉で補足すると間違いが少ないです!
3.校正・校閲時の要チェックポイントと精度の上げ方
ここまで、基本ルールや用語について紹介してきました。
ここからは、どのようなポイントに注意して校正・校閲を進めていけばよいのか、さらに詳しくご説明します!
3-1 チェックポイント 文章の書き方
読みづらい文章は、内容を理解するのに時間がかかってしまい、最後まで読んでもらえない可能性も…。以下のポイントを意識すると読みやすい文章になります。
・一文一意になっている
すっきりとした文章になるように、書く内容はひとつの文章でひとつにしましょう。
・必要以上に長い文章になっていない
あまり長すぎると読みづらくなってします。一文は40~60文字程度とし、2~3行ごとに改行(=段落/ブロック分け)が入っている文章が好ましいでしょう。
・主語と述語がねじれていない
主語と述語の使い方が適切かどうかは、文章の分かりやすさに大きく影響します。難しい内容の文章であるほど、主語と述語のねじれが起こりやすくなるので注意しましょう。
・読点「、」は読みやすい位置に入れる
音読して息継ぎするタイミングを意識して読点を打ちましょう。
・(コラムなどの読み物を書かれる方)漢字を使いすぎていない
漢字が多いと息苦しい印象になります。
漢字が多くなるときは、「出来る」や「その為」など、ひらがなに置き換えても違和感がないものをひらがな表記にしましょう。全体の三割以内に収めるとバランスがいいです。
3-2 チェックポイント 表記の統一
次のような表記のバラつきがないかを確認し正すことで、分かりやすい文章作成ができるようになります。
・表記ゆれ
同じ意味の言葉なのに、異なる文字表記がされていることを「表記ゆれ」といいます。
※例「事⇔こと」「私⇔わたし」「良い⇔よい・いい」「1カ月⇔1か月」
「引っ越し」と「引越し」のように、どちらの送り仮名でも使われることのある言葉は、表記ゆれが起こりやすいので要注意です。
・英数字、括弧や記号の半角・全角
英数字は、半角・全角どちらにしなければならないという一般的な決まりはありませんが、2桁以上の数字であれば半角の方が見やすいです。
括弧や記号は、基本的に全角を使用しましょう。
・口調の統一
柔らかい印象の「です・ます」調と堅苦しい「だ・である」調が混在していると、文章に統一感がなくなります。
・時間
12時制か24時制か表記を揃えましょう。
※例「3時⇔15時」
また、複数人で文章を作成する場合は、半角・全角や口調、時間の表記など、どちらを使うかあらかじめルールを決めておくのがおすすめです。
3-3 チェックポイント 誤字・脱字
どんな文章でも正確性が求められますが、油断するとやってしまいがちなのが誤字脱字です。誤字脱字は必ずあるものと思ってチェックしましょう。
・同音異義語
音が同じであるため、読み合わせ校正でも間違いが発見されにくい同音異義語。
特に「製作・制作」のように、漢字の一部が同じで意味も似ているものは見落とされやすいので注意しましょう。
・ら抜き言葉、い抜き言葉
会話文であれば違和感はありませんが、それ以外の場合は注意が必要です。その場に応じて使い分けるようにしましょう。
3-4 チェックポイント 適切な言葉遣い
間違った言葉遣いでは、いくらデザインがきれいなチラシやパンフレットでも、読む人に誤解や不信感を与える可能性があります。
・てにをは
「てにをは」の使い方を間違えると、こちらの意図が正しく伝わらない場合があります。
例えば、「お茶でいいです」と「お茶がいいです」では、受ける印象が変わりますよね。
正しい助詞を使って、文章のニュアンスまで正確に伝えましょう。
・尊敬語・謙譲語・丁寧語
敬語は社会人としてのマナーなので、正しい表現を使えるようになりましょう。
・不快な言葉、差別用語がないか
自分なりに気を付けて文章を書いたつもりでも、意図せず他人を傷つけてしまうことがあります。それは、企業全体の信頼を失う事態にもなりかねません。メッセージがどのように受け取られるかをよく考えて、文章を作成しましょう。
3-5 精度の上げ方
細かなチェック項目が多く、複雑な校正作業。
精度を上げるためのポイントをご紹介します。
・疑ってかかる
間違いは必ずあると思って読みましょう。
・一日空ける
書いている最中はなかなか客観的になれず、おかしな言い回しや内容の間違いに気付きにくいものです。一日以上時間を置くことで、冷静に記事を読み返すことができます。
・ペーパーレス化だが、出来れば紙でチェックする
モニターでの校正は、出力された紙で校正するよりも、集中力や視認率が下がるといわれています。紙に出力してチェックしましょう。
・複数人で見る
書いた本人が校正をすると、思い込みにより誤りに気付きにくくなります。第三者の目でチェックすることで、誤りが見つけやすくなります。
・チェックリストを作成して確認する
チェック項目が多いため、チェックリストを作成すると効率よく作業することができます。「作業内容の見える化」をし、ポイントを意識して校正作業を行いましょう。
まとめ.校正はプロに任せてしまうのも一手
印刷後にミスが見つかると、刷り直しとなり、膨大な時間・手間・コストがかかってしまいます。また、誤った表現や誤字脱字などによって、企業のイメージダウンにつながるリスクも…。
そのような事態を避けるためにも、校正はとても重要な工程です。
この記事を参考に自分で校正することも可能ですが、「時間がない」「まだ一人で見るのは不安」という方は、プロに頼るのも一つの手です。
印刷会社、校正・校閲会社に依頼することで、校正の速度と精度が上がり、正しい情報をスムーズに発信できるでしょう。