紙ソムリエの読み物

【トラブル解説】ドライダウンとは?印刷の色の沈み、転びについて

印刷物が刷り上がった直後はイメージ通りの鮮やかな色だったのに、時間が経ってあらためてみてみると、なんだか色が薄くなっていたり暗くくすんでいたりするような気が…このような経験はありませんか?
その現象、「ドライダウン」によるものかもしれません。

この記事では、ドライダウンとはどのような現象なのか、原因などもあわせてご紹介していきます。ドライダウンを防ぐための対策についても取り上げていますので、ぜひ参考にしてみてください。

1.ドライダウンとはどんな状態?

そもそも「ドライダウン」とは何なのか、どのような状態のことを指すのか…。言葉を聞いたことがない方はもちろん、基本情報を知りたい方はこちらをチェックしてください。

1-1 ドライダウンという現象について

一言でいうと、インキが用紙に浸透することで起きる、色の見え方や変化のことです。
主に、色が薄く見えたり色が暗くくすんで見えたりします。
これらの変化についてもう少し詳しくみていきましょう。

1-2 色の変化

印刷直後はインキが用紙に均等に乗っている状態ですが、時間が経つと用紙に元々ある細かい凹凸にインキが浸透していきます。浸透することで光沢が減りインキの厚みの減少が起き、色が薄く見えたり色が暗くくすんで見えたりします。
これらの色の変化を印刷業界では「色が沈む」ということもあります。

1-3 見え方の変化

印刷直後はインキが用紙に均等に乗っている状態のため、反射する光の方向も均一です。しかし、時間が経過しインキが用紙に浸透することで反射する光の方向が均一ではなくなり光の拡散が促進されます。この光の拡散によって色が薄く見えたり色が暗くくすんで見えたりします。

2.ドライダウンが起きやすい条件と対策

ドライダウンはいつでも起きる現象ではありません。起きやすい条件や事前にできる対策がありますので、一緒に確認していきましょう。

2-1 印刷方法で比較

印刷では主にオフセット印刷という方法が用いられ、その中でも「油性印刷」と「UV印刷」の2種類に分けることができます。
それぞれ印刷方法が異なりますが、ドライダウンが起きやすいのは「油性印刷」の方です。油性印刷は、印刷してインキが乾くまでおおよそ数時間から半日、用紙によっては数日かかります。つまり、その時間をかけてインキが用紙にゆっくり浸透していくためドライダウンが起きるという仕組みになっています。

「UV印刷」は、印刷直後に紫外線を照射させるためインキが硬化し色の変化が起きません。硬化させた直後の色が仕上がりの色となります。
ドライダウンを防ぐためには「UV印刷」を選んでみましょう。

仕組みはこちらの記事でもご紹介しています。ちなみに、私たち紙ソムリエの工場の印刷機もUV印刷です!

2-2 用紙で比較

印刷で使う用紙は主に、光沢感のあるつるつるした手触りのコート紙、すべすべした手触りのマット紙、コピー用紙などによく使われるざらざらした手触りの上質紙、エンボス加工が施されるファンシー紙(特殊紙)が挙げられます。

油性印刷の場合、どの用紙でもドライダウンは起きますが、その中でも特に起きやすいのは上質紙とファンシー紙(特殊紙)です。どちらも用紙の表面に塗工がされておらず凸凹しているため、インキが用紙によく浸透しドライダウンが起きてしまいます。

コート紙は表面に塗工がされており凸凹も少ないためインキが浸透しにくいです。
ドライダウンを少しでも防ぐためにはコート紙を選んでみましょう。

2-3 各現場と情報共有をしておこう

クライアントや印刷現場との認識の共有も非常に大切です。

パソコンのモニター上でのみ色のやりとりをしてしまうと、出来上がったときにイメージと違った…なんてことになってしまう恐れがあります。それは、色の再現方法が画面上のデータ(=RGB)と印刷のデータ(=CMYK)では根本的に異なるためです。
それを防ぐためには「色校正を取ること」が非常に大切です。
印刷する前にきちんと色校正を取って色味を確認し、校了の連絡を頂いてから進行しましょう。

また、打ち合わせの段階でドライダウンのことを伝え、ドライダウンが起きにくい用紙を提案するのもよいかもしれません。
加えて、印刷する工場の担当者に相談しておくことも大切です。事前に「ドライダウンしやすい用紙なので濃いめに刷ってください」などと伝えてドライダウンを予想・調整しながら進めてもらいましょう。

まとめ.ドライダウンを防ぐために

今回はドライダウンについてご紹介しました。ドライダウンとは、インキが用紙に浸透することで起きる、色の見え方や変化のことです。
イメージと違った…ということにならないように、用紙選びや色校正での確認、印刷工場の方とのすり合わせなど事前にできることを行い、満足のいくものを仕上げられるように準備していきましょう。

ほかに知りたいことやご不明点などがありましたら、当サイト『紙ソムリエ』にお問い合わせください。

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