働き方が多様化し、フレックスタイム制やテレワークを導入している企業も多くなっています。その影響で、同じ部署の方と顔を合わせる機会が減ったり、他部署の活動が不透明になったり…。コミュニケーション不足を感じることもあるのではないでしょうか。
そんな時には社内報を発行してみてはいかがですか?
社内報は、会社の経営方針から個人の活動報告まで、さまざまな社内の情報を全社員に伝えることができます。
この記事では、社内報の作成方法やポイント、おすすめの企画案をご紹介します。
社内報を活用して、社内コミュニケーションの活性化を促しましょう!
1.社内報とはなにか
1-1 社内報とは
社内報とは、経営に関する理念やビジョン、その他社内で共有すべき情報などを、社員に向けて発信する媒体のことです。
社内報を発行する目的は、「企業理念や経営方針の発信」「社員同士のコミュニケーションの活性化」「部門を越えた情報共有」などさまざまで、社員の共通認識を増やすことによって、同じモチベーションで効率よく仕事ができるようになります。
テレワークが進んだことで社員同士のコミュニケーションの場が減っていたり、働き方の多様化で社員の入れ替わりが激しかったり…今まさに社内報の重要性が再注目されています。
活用される場は社内に限らず、家族やOBに向けた社内報を発行する企業もあります。
1-2 発行媒体の選び方
社内報を発行する媒体には「紙」「Web」「紙+Web」の3種類があります。
紙
社員に直接配布する紙の社内報は、手に取って見てもらえる可能性が高いです。
近くの席の同僚と一緒に紙面を広げて見ることができるので、コミュニケーションツールとしても効果的で、自身のインタビュー記事や表彰された実績などが記載されたものであれば、記念として手元に残しておけるという利点もあります。
しかし、デザインや印刷など多くの工程を必要とするため、原稿の作成から発行までに時間とコストがかかってしまいます。
Web
リアルタイムに情報を発信できるのが最大のメリットで、文章や写真だけでなく動画でも情報発信が可能です。
掲載後も情報の追加や修正が簡単で、紙媒体に比べて時間とコストがかかりません。
しかし、パソコンやスマホでのやりとりが多いと、他の情報に埋もれて見てもらえない可能性があり、紙媒体に比べ閲覧率が低いのがデメリットです。
社内報アプリは、プッシュ通知で新しい情報をお知らせすることができます。
他にも「いいねボタン」や「コメント機能」で記事に対する社員の声がすぐに反映され、効果測定に役立ちます。
紙+Web
紙媒体にもWeb媒体にもデメリットがあります。
紙とWebを組み合わせ、お互いのデメリットを補えば、さらに効果的に情報を発信できるようになります。
たとえば、紙媒体では大まかな情報を載せ、紙面に記載したURLやQRコードから、詳細が書かれたWebへと誘導すれば、閲覧率を保ちながらスピーディーな情報発信ができます。
2.基本的な社内報作成の流れ5ステップ!
2-1 企画・スケジュールの決定
まずは企画から。何のために発行するのか、目的をはっきり定めて内容を決めていきます。
せっかく作成した社内報も、読んでもらえないと意味がありません。堅苦しくなりすぎないよう、仕事以外の内容も含んだ幅広い企画で社員の興味を引きましょう。
企画がまとまったら、発行日に間に合うよう逆算してスケジュールを決めていきます。
インタビューやアンケートなど、社員参加型の企画は特にスケジュール管理が大事です。仕事の都合で予定が変更になることがあるかもしれません。変更にも対応できるよう、余裕をもったスケジュールを心がけましょう!
スケジュールは編集メンバーで共有できるように、エクセルで表組にして管理することをおすすめします。
スケジュール表にはまず、キックオフの編集会議日と社内報の発行日、校了日を決めて記入しましょう。そこから原稿作成やデザイン制作、校正などの予定を組み込みます。
スケジュール表に書き入れる日程(例)
・編集会議
・原稿依頼の期間(取材期間)
・原稿〆切
・原稿入稿
・初校提出
・初校確認期間
・初校修正指示
・再校(2校)、その他校正日
・校了日
・発行日
2-2 台割表を作成
どの記事をメインにもってくるのか、各企画はどれぐらいのボリュームで作成するのかなど、社内報の大すじを決めていきます。
記事の優先順位を明確にしておけば、掲載順やボリュームが決めやすいですよ。
また、この段階で写真やイラストの配置などを含めた紙面のイメージを固めておくと、写真撮影がスムーズに行えます。
冊子で8ページ以上のボリュームがある場合は、エクセルやワードで台割表を作成するのがおすすめです。
台割表は、ページ物の印刷物の設計図ともいえる大切な役割をもっています。
見開き形式にすることで、どのページにどんなコンテンツが入るのか、実際の冊子の仕上がりイメージに近い状態で構成を確認できます。
2-3 記事作成
取材、情報収集
相手にも仕事がある中で、時間を割いて取材を受けてくれているはずです。冗長な時間にならないよう、事前準備を行い段取りよく進めましょう。
インタビューでは、企画の概要と質問事項を前もって伝えておきます。質問アンケートを先に実施し、どこを深掘りしていくか決めておくとさらに進めやすくなりますよ。
取材前の上長への連絡、取材後のお礼は忘れずに!
執筆
取材やアンケートで素材が集まったらいよいよ執筆です。
一つの企画内で、さらに細かいアウトラインを作成していきます。
たとえば、「子育てしながら働く社員」がテーマの企画なら、「これまでの経歴」→「仕事をする上で気を付けていること」→「両立するにあたって苦労したこととその対処法」→「今後の展望・目標」という風に流れを組み立てます。その後、具体的な話や実際のエピソードで肉付けをしていけば、文章の完成です。
いきなり記事を書くよりも、アウトラインを作成した方がメリハリのある文章に仕上がります。
記事が完成したら、誤字脱字はないか、表現は適切か、もろもろの精度を確認する校正も忘れずに行ってくださいね。複数人で行うことをおすすめします。
2-4 デザイン・レイアウト
企画ごとに大きめの見出しや写真を入れて、何についての記事か一目でわかるようにしましょう。特にWeb版では、スクロールして読み流されてしまう恐れがあるので、区切りをはっきりさせます。
企画ごとに特色を出すのはありですが、やりすぎると一冊の社内報としてまとまりがなくなってしまいます。
見出し・本文など項目ごとのフォントサイズや使用する色味などをルール化しておけば、統一感がでますよ。
行間に余裕を持たせ余白を効果的に使ったり写真やイラストを添えたりして、堅くなりすぎないデザイン・レイアウトを意識しましょう。
2-5 印刷・発行
原稿がすべて完成したら、いよいよ形にしていきます。
紙媒体の場合は、印刷前には色校正を行います。画面上で見るデータと印刷紙面では色味が違うことがあるので、実際に印刷してチェックする作業は必須です。
色味の他にも、レイアウトに変なところはないか、内容に誤りがないかなど、見本で最終チェックを行いましょう。
校了になったら印刷工程へ進みます。印刷の流れは基本的には印刷会社にお任せで問題ありませんが、ご興味のある方はこちらの記事をご覧ください。
Webで公開する場合は、入稿をして公開します。配付の手間がなく、完成から公開までスピーディーに行えることは、Web版の大きなメリットですね。
閲覧率を上げるため、リリース後に掲示板などでお知らせするとよいでしょう。
3.社内報作成のポイント
3-1 「読みたくなる」を意識する
読みやすさ、見やすさを意識したレイアウト・デザインにする
小さな文字だけで埋められた社内報では読んでもらえません。適切な文字の大きさや行間になるよう工夫し、分かりやすい文章にすることも大切です。
文字数を減らして写真やイラストを使用することで、読みやすさがアップします。
社内報だけの情報を盛り込む
少しネットで調べればわかる情報よりも、社員ならではのネタで読みたくなるような情報を選びましょう。
社員インタビューやアンケ―トなど社員も参加できる企画があると、社員のリアルな声を届けることができ、親しみが持てて関心も高まります。
社内報でより興味も持ってもらえるような企画は、「4.社内報でよく使われる企画案6選!」で詳しくご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
3-2 高頻度で発行する
社員は古い情報よりもタイムリーな情報を読みたいはずです。発行頻度はできるだけ高くし、新鮮な情報を届けましょう。間が空きすぎると、社内報への関心がどんどん薄れていってしまいます。
紙かWebか、紙の場合はチラシか冊子か、ポスターとして掲示するのかなど、発行媒体の特徴も考慮しつつ、担当者の負担にならないベストな方法を選んでください。
チラシやポスターとして掲示するなら隔月に、冊子なら季刊誌として年4回が目安です。
Webなら最低週に1度更新して、タイムリーな情報を配信するようにしましょう。
3-3 効果測定をする
目的を持って発行した社内報が、きちんと効果を発揮できているのか検証することは、今後の社内報の運用にとって欠かせない作業です。
記事がちゃんと読まれているのか、読み手に伝わっているのか、閲覧数の高い記事は何か…社内アンケートやWeb閲覧数などでしっかりチェックしましょう。
読み手の関心や理解度を知り、それを基に課題や改善点を話し合い、次の社内報につなげていきます。社内報を作成し公開することを目標とせず、社内報の目的に沿った情報発信を目指していくことが重要なのです。
4.社内報でよく使われる企画案6選!
4-1 社員インタビュー
社内報で特に人気のコンテンツが社員へのインタビューです。
インタビュー記事では、普段なかなか聞けない社員の生の声を聞くことができます。
社員のモチベーション向上、社員間のコミュニケーション活性化につながるというメリットがあります。
社員には忙しい合間を縫って協力してもらうため、限られた時間でインタビューをしなければなりません。
ヒアリングシートを先に配付して質問をあらかじめ確認してもらうなど、事前準備をきちんと行うことでスムーズに情報収集ができます。また、相手が緊張しないよう笑顔を心がけたり相槌をうったり、リラックスできる環境づくりも大切です。
社員にインタビューするだけでなく、同じ部署の上司や同僚に、その人に関するエピソードなどを聞いて掲載するのも面白いでしょう。
質問例
基本的なプロフィール
…氏名、生年月日、出身地や出身校、入社日、好きな食べ物など
仕事
…入社理由、一日の仕事の流れ、やりがいを感じたエピソード、今後の目標など
私生活
…マイブーム、特技、休日の過ごし方など
4-2 座談会
社員へのインタビューと並んで、社内報で定番のコンテンツといえば座談会です。
複数の社員で意見交換を行うことによって、普段話す機会がない人との関わりが持てたり、いままであまり知らなかった他部署の話が聞けたり、会社に対する理解をより一層深めることができます。
モチベーション向上や今後の仕事の参考になるコンテンツです。
異なる部署や役職の社員で意見交換を行う以外にも、同期や新入社員、共通の趣味を持つ人、パパママ会など、テーマに合わせてメンバーはさまざまです。
コロナ禍において大勢で集まり開催するのが難しくても、オンラインで実施できて取り入れやすいのも人気の理由のひとつです。
テーマ例
「入社を決めた理由は?」
「今後会社で実現したいことは?」
「子育てと仕事の両立について」
「キャンプ好き座談会」
4-3 お祝い事などイベント報告
お誕生日や結婚・出産のお祝い、他にもお子さんの卒業や入学のお祝いなどについて掲載します。おめでたいニュースを聞くとうれしい気持ちになりますよね。
社内での「おめでとう」「ありがとう」の会話が増えて、職場の雰囲気がさらに良くなるきっかけにもなると思います。
しかしプライベートなことなので、対象者にはきちんと了承を取り、掲載について無理強いしないようにしましょう。
イベント報告では、社内イベントの様子を掲載します。
社員全員が参加するイベントであれば、あえてみんなが知らない裏方の様子を載せるのも面白いと思います。
一部の社員が参加するイベントであれば、参加していない社員に対して、イベントの概要を説明するようにしましょう。
参加者のコメントや写真でイベントの様子が詳しく分かれば、次回の参加希望者が増えるきっかけになります。
イベントでの写真撮影や参加者へのインタビューを積極的に行うようにしましょう。
4-4 社内アンケート
社内アンケートは、気軽に社員の本音が聞くことができ、今後の課題解決につなげられる有意義なコンテンツです。
仕事内容や福利厚生など働き方に関すること、社内報に関する感想(面白かった記事、改善すべき点、今後やってほしい企画)などを調査すれば、今後どのように改善していくかのヒントになります。
業務に関すること以外にも、季節ごとにおすすめのレジャー施設や観光スポットを聞いたり、選択式にして「朝ごはんはパン?ご飯?」「飼うなら猫?犬?」など調査したりするも面白いでしょう。
アンケート用紙を配付するのかWeb上で回答してもらうのか、無記名か記名か、選択式か自由回答式か、どのように実施して回収・分析するのかなど、スムーズにアンケートを実施するためには事前準備が大切です。
また、社員に気軽に回答してもらえるよう、質問文は難しい表現を避けるように心がけましょう。
4-5 人気の社食・ランチなど
食べ物ネタは関心をもってもらいやすく、気軽に読んで楽しめるコンテンツです。
アンケートをもとに人気の社食をランキング形式で掲載したり、近隣のおすすめのご飯屋さんを紹介したりすると良いでしょう。
お昼を手軽にコンビニで済ませる方もいると思います。最近は専門店とコラボした商品なども多く、コンビニとは思えないクオリティで人気があります。「おすすめのコンビニスイーツ」などを紹介するのも良いかもしれません。
また、企業によってはテレワークが多く、出社する機会が少ない方もいらっしゃいますよね。
そういった場合は、あえて「テレワークのおうちご飯」などを企画しても面白いのではないでしょうか。
4-6 リレー企画
社内報を定期的に発行していると、ネタ切れになったりいい企画が思いつかなかったりしますよね。
そんなときは、リレー企画がおすすめです!
リレー企画とは、1つのテーマに対して社員が順番に質問に答えていくコンテンツです。
趣味や休日の過ごし方などをテーマにして長期的に掲載できるので、ネタに困ったときにはぜひ活用してみてください。
リレー形式なので、企画に参加した社員は次の参加者を指名できます。
社員のコミュニケーションの活性化にも役立つはずです。
まとめ.社内報で社内交流活性化×楽しく情報共有
社内報には、社内の情報共有を円滑にし、社員同士のコミュニケーションを活性化させる効果があります。
社員インタビューで仕事の成果を伝えたり、座談会で企業の改善点を話し合ったりすることで、企業への理解が深まり、社員のモチベーション向上につながります。
そしてよりスムーズに仕事を進めることができ、業績が向上すれば結果的に企業の成長へと結びつきます。
そのためには、「読みたくなる」社内報を作成しなければなりません。
興味を持ってもらえるコンテンツはなにか、社員が知りたい情報はなにかを考え記事にするのは、時間がかかりとても大変な作業です。 社内報制作で困ったときは、ぜひこちらの記事をお役立てください。